小野のつぶやき:亡き母へ

母が亡くなって以来、いつも考えることがあります。

「母にとって俺はどんな息子だったのか?」

と。でも、生前に聞いておけば良かったとは、思っていません。「自慢の息子だよ。」なんて言われた日には、全身がむず痒くなり、恥ずかしさで一杯になったはず。基本的にぶっきらぼうに接し、傍から見ても仲良し親子には見えなかったと思います。

「あんたは自分が一番偉いと思ってるんだから。」というお決まりのセリフは、喧嘩のたびに浴びせられました。でも、母の愛情は強く感じていました。特に、18歳で上京し離れて暮らすようになってからは。

毎月送られてきた生活用品の中身やバイト三昧で家を空けることが多くなって心配して送ってきた手紙は、母の愛情そのものでした。だから、母にとっての私は、「愛する息子」だったことは間違いないと思います。これが自覚できているなら、「どんな息子だった?」なんて考える必要はないのかもしれませんが、ふと考えてしまうんですよね。

数年前に母と言い合いになり、思わず「お母さんは人の気持ちが分かる人だから、ずっと尊敬してきたんじゃないか!」と柄にもないことを口にしてしまいました。これが、唯一母に伝えることができた私の思いです。母の衰えが顕著になってからは、事あるごとに何度も「ありがとう。」と言われました。今思うと、母の人柄そのものだと思います。

そんな母に私は「ありがとう。」があまり言えませんでした。

やはり私は「自慢の息子」ではないようです。